2014年の1月のはじめ、お友達が誘ってくれた新年会である出会いがありました。
そこで僕は、まだぼんやりとしていた夢を語りました。
あの“夢だけ”を語る自分の姿を思い出すと、今はとても恥ずかしい気持ちになります。
今の会社をやっていく上で、たくさんのお金を使い、人の人生を預かるものでもあり、責任も大変重く、合理性が非常に大事にされるのです。
非現実的なことを楽しそうに堂々と話すなんて・・・・
しかし、心のどこかであの時のワクワク感がとても大事なんだろうな、とも思っています。自分の今の課題は、あの時の純粋な想いを忘れず、あの姿や振る舞いを今も続けて表現していくことなんだろうなと・・
でもなかなか難しいのです。今、毎日取り組んでいることは超現実的で、スケジュールもビッチリで期限も決まっていて、精神も体力も限界に追い込まれ、デッドラインは常にすぐそこに見えています。
明日は生き残れるのか・・そんな毎日の中でも夢をみて、それを語り、そして体現していくこと。それはとても困難なことなのです。
周囲からは楽しそうに見えるかもしれません、華やかに見えるかもしれません。しかし、当人たちにその体験を味わっているほどの余裕がないのが現実。
夢をみながらもそれに向けて着実に物事を実現していくという事は、それほどにもその夢にのめり込み、そして夢に飲み込まれて自分自身が消えてなくなるくらいでないと実現できないものだと思うのです。
前回のエピソード✂︎01はこちら
ある出会い
ここからは時系列で実際の体験を書いていきたいと思います!
2014年の新年会である出会いがありました。
主催者以外、全く知り合いのいない会でお酒を片手に持ち、席にポツンと座りました。
↓当時の写真。今よりも美容師っぽい気がする
目の前にいた南さんという男性と挨拶をし、軽くお話しをしていました。どんな流れからか覚えていませんが、自分のイメージしていた「感覚を科学する」という世界観の話題になりました。
たぶんうざいくらい熱中して話したんだと思います。すると南さんは言いました
「ズマくん、それやった方がいいよ絶対!」
僕はただの美容師で、細々と生きているなんでもない身分。この時はまだ、そんな壮大な事を自分が責任持ってやろうなんて1ミリも思っていませんでした。
人任せ的に「誰かがこれを実現したらいいのにな」と、ただそう思っていたのです。
南さんは続けて言いました。
「実は僕はヘッジファンドで働いていて何百億も運用している。そこでいろんな社長さんに会ってきてるけど、ズマくんはその人たちと何か同じモノを感じるよ。だから絶対にやるべきだよ!」
軽いノリでの一言だったのかもしれないですし、社交辞令かもしれません。
当時の自分には無い発想だったので気持ち的に困惑したのを覚えています。
その新年会後も、別日でお会いしてくれてアイデアを細かく聞いてくれました。そこに岩片氏も出席してくれて、そこで美容室での顧客管理やカルテ管理の話題になり、カルテのアプリを作ることになったのです。
次に南さんにお会いした際にあるプレゼントをくれました。ファイルメーカーというソフトウェアです。しかも参考書付きで。
「これでカルテアプリのサンプルを作りなよ!」と
帰り際、岩片氏に「ズマさん、それ割と高いやつっすよ。」と一言。調べてみると10万以上もする代物でした。
こんな事もあるのかっ・・とすごく驚きました。僕の背中を押してくれた南さんには今でもとても感謝しています。
アプリのサンプルづくり
ソフトをもらったものの、それを動かせるPCが無かったため、次の日にMacBook Airを買いに行きました。
早速もらったソフトをインストールし、参考書をみながら学びつつ、カルテアプリの理想像を作り始めました。
アプリのサンプルのことをIT業界ではモックアップと呼ぶそうです。
そしてこんな感じのモックアップが出来上がりました
今見るとだいぶ酷いですが、ここにLiMEアプリへの色々な想いが込められていて原点になっています。
ここから、これを持ってプレゼンに回る日々が続きます。
お金集めとプログラマー探し
まず一番最初にできることは大きく2つありました
1つは制作・運営するためのお金を集めること
2つ目はアプリ制作してくれるプログラマーさんを探すこと
両方とも知識も方法もさっぱりの中、とにかく行動を続けました。
まず、岩片氏に教えてもらった起業のファイナンスという本を熟読し、教えてもらった投資家さんのブログを色々と読み漁りました。
特に株は超重要だからと念を押して教えてくれました。
その勉強と同時にプログラマーさんを探すことをしました。
どうやったら探せるのか全くわからなかったので、どこぞの誰かがやってる色々なイベントに顔を出してみたり、知り合いに声をかけたりしていました。
当時の自分には美容師以外に何のスキルもなく、ただ【実現したい世界観を伝える】という事しか出来なかったので、とにかくそれを続けました。
するとイベント1つ行くごとに、だいたい一人はプログラマーさんがいるもので(たまたまかもしれませんが・・)色々な人と出会って行きました。
一生懸命伝え、世界観を共感してもらい手伝ってくれるとなっても、突然ミーティングに来なくなってしまったり、連絡が取れなくなったりという事が続きました。
そりゃそうですよね、初めてあった小僧に夢を語られてそんな簡単についてくる人なんていません。
さっそく壁にぶつかりました・・・
プログラマーさんにアプリを作ってもらうにはお金が必要です。
一方で投資家さんからすると、プログラマーがいない事にはお金は出してくれません。
ニワトリが先か、卵が先か・・・・
そもそも、なんの実績も無い普通の美容師がアプリを作ろうなんて、ましてや夢の世界を実現しようなんて無理な話なんです。
この事により、僕の意識は一気に現実に引き戻されました。
行動しても結果が出ないなんて普通のことですし、そもそも運任せでただ動いていただけです。
足は止めませんでしたが、それと同時に現実的に無理なんじゃないかと冷静に考える自分もいました。
でも、なぜか考えれば考えるほど、僕の今までの人生はこの事にチャレンジする為にあったのではないかと思えてきました。
その為、希望が全く消えませんでした。
もともとの性格がポジティブな訳ではありません。というよりもこれを実現したいからこそ前を向こう!といった感じでした。
・自分の特性や素質
・性格
・得意な事
・好きなもの
・学んできた事
・今までの人生
それぞれが目の前にあることを実現させる為に存在しているようで
「これって自分に与えられた使命なのかも・・・」
と本気で思えるようにまでなっていました。そしてその感覚は今でも変わらずにあります。
今まで生きてきた中でそんな感覚を持った事もなかったので、とても不思議な事でした。人ってこんなにも気持ちや意識が変わるものなのか。
もともと臆病ですし、チャレンジする事が怖いのは事実なのですが、それを超える何かを自分の中に持てていたのです。
いくら冷静に考えても、合理的に考えても、何とかなる気がしていました。
とても不思議な状態でした。
そんなある日、お客様のカットをしながら、プログラマーさんを探しているという話をしているとこんな事を言われました
「私の友達が最近ITの会社を起業したから是非紹介するよー!」
起業したばかりの社長さんであれば同じようにプログラマーさんを探しているはずなので、その紹介が良いのかどうかはわかりませんでした。
しかしその時はどんなきっかけでもとてもありがたかったので、その紹介にすぐに飛びついてお願いしました。
そして、これがあの伝説のスーパープログラマーとの出会いに繋がるのです・・・・
つづく